新聞記者、辞めました。

新聞記者、辞めました。

新聞記者、辞めました。でもなんやかんや新聞やメディアが好き。社会のいろんなこと考えていたいゆとりの戯れ言。

効果ヤバい!取材後、編集さんに褒められちゃった!(阿川佐和子『聞く力』)

 

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取材録音を聞いたら、自分の質問の仕方が下手くそすぎて幻滅。

そのまま思い立って本屋に駆け込み購入。

即読破、即実践したら、効果てきめんだった。

 

この本との最初の出会いは、新聞記者という“聞く仕事”に憧れていた大学時代。

1度読んだことはあったけど、実際に“聞く仕事”に就いてから改めて読むのとでは、得られた内容が段違いに多かった気がする。

 

「“聞く仕事”に就きたい!」と思っている人よりも、「すでに“聞く仕事”に就いているけど、最近なんか取材がイマイチ」と感じている人に特にオススメ。

 

 

マジで自分、質問ヘタ過ぎ!

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きっかけは、現在、フリーランスとしての仕事で携わっている、ある雑誌の連載でのこと。

毎月、とあるテーマに沿った方々に話を聞き、2500~3000字の原稿をしたためている。

さすがに取材メモだけでは、言葉の端々のニュアンスまでは拾いきれないので、約1時間分のテープ起こしをしてから原稿化の作業に入るのだが、ある取材の録音を聞いていると……本当に……もう……・ひどかった(涙)。

自分の質問パートを聞きたくなさすぎて、「15秒進む」ボタンタップしまくり。

数秒後、現実から目を背けちゃいかんと「15秒戻る」ボタンをタップして、改めてちゃんと聞いてみると、本当にひどい。

 

・声が上ずっている→アホそう

・「えっとー」が多い→アホそう

・文末がふにゃふにゃ→アホそう

・とにかく自信がなさそう

・質問がまどろっこしくて堂々巡りする←これが1番ひどい

 

(“アホそう”なのは、もう「私はアホなんだ」ということを一旦受け入れたうえで、横に置いておこう。)

1番ひどくかったのが、私が言葉を言い終わる前に、取材相手がもうしゃべり出していること。

特段、先方がせっかちな人だとか、気難しい人だとかそういう訳では全くない。

「(はいはい、そういうことね、はいはい、はいはいはいはいはい……)」って、堂々巡りする私の質問をうまく拾って繋げてくれたのだけれども、あとから録音を聞くとただただ恥ずかしい。

 

例えば、阿川佐和子さんにインタビューしているとしたらこんな感じ。

 

「さて最後に、今後の展望ということでお話をお聞きしたいのですが……この『聞く力』、そして『叱られる力』と続けて本をお出しになって、2冊とも非常に好評で……もちろん他の本もすばらしいものばかりなのですが、このような円滑なコミュニケーションを図るための本は、記者などの“聞くこと”を実際の仕事とする人以外にも、多くのビジネスマンや若い方々にも読まれていますが、阿川さんが思う、現代の、2020年の“聞く力”とは。2020年に必要とされる“聞く力”。また阿川さんがこれから身に着けたいと思われる“聞く力”とはどのようなものだとお考えでしょうか?」

 

長っ。テキスト化したら本当に最悪のインタビュアー(笑)。

初めの「今後の展望」と最後の「2020年に必要な聞く力とは」では絶妙にニュアンスがマッチしてないから、インタビュイーにとったら「え?結局何を聞かれた?」ってなる。

そして中腹の、だらだらと紆余曲折する曖昧な文。

かなりヤバい。

 

でもまあ、こういうインタビューになっちゃうこと、結構あるよね☆彡

こういう時の原稿もやっぱり不調で、まあまあな赤字修正入るよね☆彡

ダブルで凹んだよね☆彡☆彡

 

とにかくすぐ、『聞く力』を学生ぶりに再読。約2週間後、早速取材で取り入れてみた。

 

 結論:速効性ありすぎて小躍りした

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こんなに早く効果が出るなんて思っていなくて、ただただ驚いた。

もし通販番組で『聞く力』が紹介されることがあったら、モニターの座は確実に私。

「ええ~!すっごぉ~い!!こんなにすぐに効果が出るの?!」って、ディレクターのお望み通りにリアクションしてさしあげます。

 

とまあ、特に取材にあたって『聞く力』をゴリゴリに意識していたわけではなくて、なんとなく心の中で気を付けていたぐらい。

っていうか、コロナの影響でオンライン取材ということもあり、取材中の1時間はかなり頭フル回転させているから、サワコさんを意識している暇はなかった。(笑)

 

それでもなんと取材後、同席していた担当編集さんから「獅子さんがめっちゃいい質問たくさんしてくれたので楽しんで聞いていました」って……なんと嬉しい……お褒めの言葉を……いただいたんです……(感涙)。

 

確かに途中から「今回はすごく調子がいいな~」とは思っていたけど、こうやって他人から褒められると改めて嬉しかった。

『聞く力』のスゴさを身をもって実感したのだった。

 

 

本から実践したことは3つ

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①質問の柱は3本

「チラチラとメモに目を走らせる落ち着きのない聞き手が目の前にいると、答えるゲストも落ち着かなくなります。(中略)不信感を抱かせないためにも、私はできるだけ余計なものを排除して、会話に集中することを心がけます。」

 

必ず聞かなければいけない基本的な質問事項はあるけれど、それに囚われ過ぎて杓子定規な聞き方と順番でしか取材ができないのなら、もはやそれはAIや!(CV.永野さん)

 

「会話は生もの」という言葉が本書にたくさん登場するように、取材と言ってもあくまでもその人との会話。

会話を楽しむことが、良いワードを引き出す1番の秘訣であると思った。

 

 

②フックになる言葉を探す×オウム返し

「さりげなく付け加えた形容詞や、言葉の最後に挟み込んだ普通名詞や、ちょっとした小さな言葉。そういう宝物を見過ごしてはいけません。」

 

「『オウム返し質問』は、概して驚いたときに使いますが、その言葉を再度、ピックアップして叫ぶことによって発した語り手自身の心を喚起させる効果があるのでしょうか、『オウム返し』の次につながる答えは、その言葉をさらにかみ砕いた話になることが多いですね。」

 

 

「(あ~~○○ね、ふ~ん??)なるほど!」って、意外と「フックとなる言葉」ってわかった気になってスルーしてしまっていることが多いことに気が付いた。

「(○○かあ……)」って心の中で思うんじゃなくて、「○○ですかぁ……」って口に出すだけで、相手が「そうなんです、、、」って言葉を紡いでくれて会話が続いていった。

 

 

③自分ならどう思うかを考える

「違う思考や行動を経験した他人の気持の一部だけでも、自分の何かの経験を重ね合わせることができたとき、相手に対する深い理解と興味が生まれるのだと思います。」

 

取材は会話。

ただ相手が話すのをうんうん頷いて聞くだけじゃなくて、自分自身の経験を少し話してみる。

なるほどなるほどって連呼するだけじゃなくて、ふと思った簡単な感想を話してみる。

先方のタイプもよってこちらが話す内容はもちろん見極める必要はあるが、私の失敗談でちょっと笑いが起きて場が和むと、取材相手もリラックスしてくれたのか、その後の取材がスムーズに進むのを実感した。

 

 

まとめ:意外とみんな「聞きベタ」じゃない?

結局、「まどろっこしい言い方でだらだらと質問してしまう」という私の欠点は、形式ばった取材をしようとするが故に出てしまう悪癖ということが判明。

“会話を楽しむ”という原点に返ったおかげで、あまり目立たなくなっていた。

 

成功した取材録音を文字起こししていると、時が経つにつれて相手が心を開いてくれているのが感じらて、「いや~ここのオウム返し最高だったじゃん!」って自分を褒めて、「まじサワコさんスゴい!ありがとうございます!」って、阿川さんがいそうな方角に向かって何度も頭を下げた。

 

“聞く仕事”をしている人たちにとってみたら「いやいや、そんなん言われなくても当たり前にやれてるわ!」って思うかもしれないけど、「いやいや、意外とできてないかもしれないですよ」って言いたい。

 

もちろん、取材相手・取材内容・掲載媒体などによって求められる「聞く力」は異なってしかるべき。

だけど、首相や都知事の記者会見やスポーツ選手の会見を観ていると、「この記者の質問はまどろっこしいし、無駄に長いし、結局何が聞きたいの?」って人をよく見かける。

大手メディアのまあまあエース級か将来有望株であれなんだから、世の中の“聞く仕事”をしている人の中で「真の聞き上手」って本当に少ないんだろうなって痛感する。

 

自分の「聞く力」について、今度さらに詳しく分析してみようっと。

 

 

 

――――もしかしてこれ、書評になってない?まあいいか。(笑)