新聞記者、辞めました。

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新聞記者、辞めました。でもなんやかんや新聞やメディアが好き。社会のいろんなこと考えていたいゆとりの戯れ言。

あなたの原稿、編集さんが陰でブチ切れてるかも…【フリーライターさんへ】

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獅子まいこです。

先日見掛けた、元TBSアナウンサーでタレント・エッセイストの小島慶子さんのツイート。

 

 3つの意味で驚きました。

①小島さんと全く同じことを言っている編集者が周りにいる

②小島さんほどの著名な方のインタビュー原稿なのに、そんなレベル低いライターがついていること

③リプ欄に、「書き起こしのときに一字一句変えないのが誠実さ」と言っている人がいたこと

衝撃。
 

「小島さん、私が書くのに!!!!!」って、思わず心の中で叫びました。笑
 

 

編集者のキレポイント

私は新聞記者、雑誌編集者を経てフリーランスとして独立しました。

現在は友人Aが勤める出版社や友人Bが勤めるWebメディアで、ライターや編集や記者として働いています。

彼らが、先ほどの

①小島さんと全く同じことを言っている編集者が周りにいる

の「編集者」のことです。

 

彼らとは学生時代からメディアのことを勉強してきた仲で、私を含め全員、元・新聞記者。

メディアで情報を発信することについて、一定の知識と経験、そして矜持があると思っています。

 

彼らはよく「素起こしみたいな原稿送ってくんじゃねえよ」と愚痴をこぼします。笑

私の原稿のことではないことに安心しつつ、決して「他人事ではない」と肝に銘じながら聞いているのですが、あまりにそのレベルが低くて(すいません)衝撃を受けるんです。

 

①口語表現のまま
 

リライトに疲弊した友人Aはこう言っていました。 

「『本社を横浜に引っ越した』って、なんていうか記事にすると若干間が抜けない?

『移転した』に書き換えるとかさ。

そういう痒いところに手が届かない感じ。まあ早く原稿出してくれたからいいんだけどさ。」

 

私は思わず「直さないんだ…(絶句)」でした。

確かに取材した人は「引っ越した」って言っていたのかもしれないけど、記事にするにあたって加筆修正するのもライターの仕事のはず。

ただの素起こしなら、録音をAIにでも文字起こしさせとけばいい。

そんなクオリティで納品しちゃう姿勢に、同じライターとして腹が立ちます。

 

②会話文の構成のまま

LINE通知が鳴り止まないレベルの超高速連投で、友人Bはこう嘆いていました。

 文末が「です・ます」で、対話形式のインタビュー原稿でのこと。 

「ある分野の専門家に取材したのよ。

MaaS(マース)が特集の1つのキーワードになっていたから、本文の1番最初の質問が『近年話題のMaaSってそもそもなんですか』だった。

それは全然いいんだけど、それに対する答えが、次の専門家ターンの中に一向に出てこない。

 

どこ?どこ~~~???って。

結局そのターンの最後の最後にちょこっと触れただけ。しかも答えの形にすらなってなくて絶望した」

 

知らず知らずのうちに誰かを絶望させているって、こんな罪深いことないわ。

このライターさん、文字起こしのまま再構成とかせず出したんだろうなあ…。

「MaaSってなんですか?」って質問から始まったら、読み手は「MaaSってなんだろう?」っていう気持ちで読み進める。あると思った場所に答えがないとただのヤキモキタイム。その間に内容なんて入ってこない。

 

(※MaaSがなにか気になったかたは、こちらの日経電子版へどうぞ)

www.nikkei.com

取材っていう人と人の会話の場面で、「Aってなんですか?」「はい、Bです」って理路整然に話が進むことはほぼなくて、たとえ話や事例を挙げてわかりやすく説明しようとしてくれることが多いと思う。

 ただ、そのままそれを文字にすれば冗長な記事になるだけ。

 

会話と記事で、文の構成は違うということをあまり理解していないライターがいるらしい。怖い。

 

編集から、フィードバック受けたことありますか?

でも、本当に怖いのはここからなんです。

 私は友人2人に尋ねたんです。

こんなに激ヤバ原稿ばっかり送られ続けたら、自分の仕事量もストレスも増えるだけ。

「ライターにフィードバックしないの?」って。

 

2人は揃ってこう答えました。

 「しないね~。」

 

そして友人Bはこう続けた。

「フィードバックせずに全部自分で直すほうが、なんだかんだ早いんだよね。

 

そういうライターはそういう原稿を頼むっていうか。

例えば、なんでも良いから文字になった原稿が早く欲しいときとか、素起こしレベルでもいいから欲しいってときには重宝するから。」

 

…怖っっっっ!

 

諦められている!編集に!!

 ライターとしての能力を見限られている。

このライターはきっと、この媒体で書いている限り、永遠にスキルアップすることはない。

 出版社勤務の編集者にフリーライターを育てる義務なんてないもんね。そりゃそうです。

 

小島慶子さんの件のライターも、ちゃんとしたフィードバックをされたことが無いんじゃないかと思う。

だから小島さんがどんな思いで赤入れし続けているのかもつゆ知らず、ずっと口語書き起こしみたいな原稿出し続けていたのかもしれない。

(出来上がった誌面見れば、自分の原稿とぜんぜん違うことぐらい分かるけど…。)

 

継続的に仕事をもらえているからって、「ライターとして認めてもらえている」って手放しに安心していいわけじゃない。

 

もしかしたら、あなたの担当編集さん、あなたの原稿にブチ切れながらリライトしているかもしれませんよ。 

まとめ:自戒

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私はライター養成講座を主宰しているわけでもないし、著名な媒体で何十年も書いているようなライターでもありません。

上から目線で申し訳ありませんでした。

 

友人2人の証言という、心許ない裏取りです。

フリーライターの方で、担当編集からフィードバッグが無いからって、必ずしも「だめライター」認定されているわけでもないと思います。

 

でも、担当編集と対等に言い合える関係を築くことはメリットも多いので、強くオススメします。

 友人以外の担当編集さんとは、今関係を築いている最中です。

でも、野球を観に行く約束したので、きっと仲良くなれると思います(希望)。

 

 

私は、人生の果てしない目標の1つが「この世からクソ記事を撲滅する」であると、自己紹介記事で宣言しました。

※“クソ記事”とは、ネットに蔓延る、中身のない、転載とコピペを繰り返しただけの記事のことを指します。 

yutori-zaregoto.hatenablog.com

 その延長線上には「職業ライターなのに文章が書けないクソライターの撲滅」があると思っています。

“撲滅”だなんて暴力的な表現の言葉を使っていますが、決して「死」を意味しているわけではありません。

「編集を困らせないライター=優秀」というわけではないこともわかっています。

 

ただ、情報を発信する者として、自覚を持ったライターが増えてほしいと思っています。
少しでも世界がよくなることを願います。自戒を込めて。

 

獅子まいこでした。