新聞記者、辞めました。

新聞記者、辞めました。

新聞記者、辞めました。でもなんやかんや新聞やメディアが好き。社会のいろんなこと考えていたいゆとりの戯れ言。

オーバードーズ気味の後輩。でも、私は止めない。

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マスコミの仕事はタフです。
そんなこと、知っています。
覚悟の上で、目指したんです。
だけど、わかっていたけど、心と体は壊れてしまったんです。

新聞社と出版社でその苦しみを経験しました。仲良い同僚にもいました。
だからこそ、今、同じ苦しみで悩んでいる人には、精一杯寄り添いたいと思っています。
少しでも、読んでくれた方の心を軽くできたらと思って、今日はこんな記事を書いてみます。

東京でも緊急事態宣言が解除された、6月上旬。

出版社時代の後輩と、久々に会ってご飯を食べに行きました。 

彼女は2歳年下。私が中途として入社した編集部に、数カ月後新卒として入社しました。

 

当時の編集部は、と・に・か・くヤバかった。

私は1年数カ月後、過労で休職し退職。

後輩ちゃんもほぼ同時期に休職。

後輩ちゃんと同期にあたる新卒の数人も、過労で転職したり突然会社に来なくなったり、いろいろやばかった時期でした。

 

私は休職中、新聞社時代と同じように病みに病みまくった末に退職。

一方、後輩ちゃんは私とほぼ同じタイミングで休職したのち、復職を果たしていました。

 

そんな後輩ちゃんとは「病み友」でした。

私が退職した直後、私の家の近所の居酒屋まで来てくれて、よく近況を語り合っていました。

「毎月、編集部で1番早く校了して、新企画もバンバン出していた獅子さん(私)」と「毎月、編集部で1番遅い校了で、なにかと編集長やデスクに怒られていた後輩ちゃん」。

結果的に社に残ったのは、後者の彼女。

「不思議ですね~」「なんだかんだ、勝ち負けで言ったら、勝者は後輩ちゃんだよ」なんていいながら。

 

当時はお互いにひたすらに病んでいたので、「どんな薬を飲んでいるか」「死にたくなったときどうしたか」「遺書にはなんて書いたか」「実際にどこまで行ったか」なんて、笑いながら、でもノンフィクションなことを、語り合っていました。

他の人には絶対に言えない。引かれるか、本気で心配されるか、そっと距離を置かれるようになるか、メンヘラ認定されるか。

でも、そんなことを楽しくフラットに言い合える。後輩ちゃんとはそんな不思議な関係でした。

数カ月ぶりの再会。

私はフリーランスとして独立。

後輩ちゃんは復職以降、月刊誌をつくる編集部ではなくなり、校了の追い込みや徹夜が無い部署を転々としていました。

 

それでも、彼女はずっとフラッシュバックに悩まされていて、飲む薬の量も増えていました。

それも、かなり。

心療内科で処方される抗うつ剤精神安定剤の類に加え、「多幸感」を味わえるという風邪薬や咳止め薬をドラッグストアで大量に買って飲んでいるようでした。

 

でも、私は「薬辞めたほうがいいよ」とは言いませんでした。

居酒屋で語り合ったときと同じテンションで、彼女は「お金ないのが最近の悩みで。薬代でひっぱくしてるんですよ~」と明るく言う。

 

オーバードーズなんて、絶対に辞めるべき。それは誰よりも彼女が1番わかっている。

だからこそ、私は「辞めたほうがいいよ」とは、簡単に言えない。

「辞めたくても辞められない」苦しみは、死ぬほどわかるから。

 

でも、後輩ちゃんに、何度もこう言いました。

「一応、言っておくけど、会社、辞めてもいいんよ。

私も会社辞めて気づいたことだけど、意外と、人生どうにでもなるし」

 

すると

「辞めないです。」

きっぱりと彼女は答えた。

「まあ、薬代でお金ヤバいっていうのもあるんですけど……

 

私がお荷物なのはわかっているんです。

でも、実はこれでもバリバリ雑誌つくっていた1年目よりは給料がいいんです。

面の皮厚い奴だって思われてもいい。

私がこんなになったのは私のせいですけど、会社の責任もある。

これは復讐なんです」

彼女は、私には持ち合わせていない、強さを持っている。

なんか、カッコよかった。

 

私が弱いのか彼女が強いのか。それはまあなんだってどうだってよくって。

大事な「病み友」の1人として、お互い、違う強さと弱さを認め合いつつ、定期的に生存報告をする。とりあえず生きていればそれだけでいい。

この後輩ちゃんとは、そんな関係でずっといられたらいいなと思った。

 

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先日、このはてなブログにまたコメントをいただきました。

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はむすたーさん、コメントありがとうございました。

私も今でも、新聞社時代のことがフラッシュバックすることがあります。

つい先日、フリーランスの仕事で某新聞社の方とのやりとりしていたとき、心がえぐられて、そこに新聞社時代のデスクを重ねてしまったことが発端でした。

数日間、病みました。笑

 

忘れたくても忘れられない記憶にいつまでたっても苦しめられる。情けなくなります。

でも、これって動物としての生存本能らしいです。恐怖体験を忘れてしまって命を落とさないように、脳はめっちゃ記憶してくれているとか。

 

病みから脱した後、このことを知って「なんかありがたい」って思えました。

「また数年前みたいに、肉体的にも精神的にも死なないように体が反応してくれているんだ」って思うと、「自分の本能、ありがとう!」みたいな気持ちになりました。

(アホそうな感想ですみません)

 

フリーランスのいいところは、「もうお付き合い辞めたいな」という方とは、関わらないようにできること。会社員と違って、上司もいません。

仕事上の責任をある程度きちんと果たしたうえで、徹底的に逃げることにしました。

 

上記のブログにコメントをくれた方を含め、きっと私の記事に共感してくださる方って、向上心の塊で、責任感が強くって、人からは真面目って言われるタイプなんじゃないかな~と思います。

派手なことが好きでも、なんだかんだ人生は地味で愚直に歩んできた人。

冒険心あふれるけど、それもなんだかんだ「普通」と言われる人生のレール上での冒険にすぎない、みたいな。

そんな人たちには、辛いことから逃げまくっても「人生意外と大丈夫」ということを、このnoteやブログを通して伝えられたらいいな~と思います。

もちろん、「絶対に逃げない」という選択肢もいいと思います。

とにかく、生きているだけでいい。それだけで、あなたの家族や大切な人も愛犬も幸せです。

 

読んでいただいて、ありがとうございました( ᵕᴗᵕ )

 

さて、私は、何も予定がないシルバーウィークに仕事をするだろうと、未来の自分に期待して、AmazonPrimeでドラマ『相棒』を一気観することにします。

 

獅子まいこでした。